Q&Aコーナー

送金は銀行でしかできないと思っていたけど、銀行以外の業者に送金を依頼しても大丈夫なの? 資金移動サービスはどんな企業でもできるの?

資金移動サービスは、資金決済法による登録を受けた企業が行うことができるんだ。

現金書留のようにお金そのものを直接送るのではなく、一定の仕組みを用いてお金を移動させることを為替取引といいます。為替取引はこれまでは銀行しか行うことができませんでしたが、資金決済法により銀行以外の業者でも為替取引を行うことができるようになりました。銀行以外の業者が行う為替取引を資金移動サービス(資金移動業)といいますが、資金決済法では、資金移動サービスを行うには事前に審査を受け、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

登録を受けるには、利用者から送金のために預かる資金の保全(資金の保全についてはQ12をご参照ください。)や、資金移動サービスを安定的に行うための体制の確立と財産的な裏づけが求められるほか、法令等遵守の体制の整備などが求められています。これらの要件を満たさない企業は登録を受けることができません。

また、登録を受けることができるのは株式会社か外国資金移動業者で、個人事業者は登録を受けることができません。

資金移動サービスを利用するにあたっては事前に資金移動業者かどうかを確認しましょう。資金移動業者かどうかは金融庁のウェブサイトで確認できます。また、資金移動サービスはコンビニなどの代理店でも利用できますが、資金移動業者の提携代理店かどうかは、資金移動業者のウェブサイトで確認しましょう。

いくらでも送ることができるの?

資金移動サービスで送ることができる金額は、資金移動業者の種別ごとに違うんだ。

資金移動業は、2020年の資金決済法の一部改正により、機能やリスクに応じて3類型に分類されました。
法令上1回あたりに送ることができる金額は、第三種は5万円以下、第二種は100万円以下であり、第一種は上限金額の制限がありません。

また、上限額は資金移動業者により異なりますので、利用する際に確認しましょう。なお、この上限は、手数料その他の費用を含まない金額です。

誰でも利用できるの? 夕方や夜でも送ることができるの?

誰でも利用できるよ。インターネットや携帯電話を利用するサービスなら夜でも送ることができるんだ。

資金移動サービスは、送金の内容に制限がなく、個人の利用はもちろん、企業などの事業者も利用することができます。家族への仕送りなど個人間の送金だけでなく、企業間取引の決済、買い物代金の支払いなど個人から事業者への送金、あるいは事業者から個人へ送金も可能です。外国人も利用が可能で、日本で働く外国人が本国の家族にお金を送る際にも利用されています。

このように送金の内容に制限はありませんので、資金移動業者によってさまざまなサービスの形態があり、送金チャネルもさまざまなものがあります。資金移動業者の店舗や代理店に出向いての送金のほかに、インターネットや携帯電話、スマートフォン等のモバイル、コンビニ端末を利用した送金もできますので、夕方や夜でも時間の制約を受けることなく送金が可能です。モバイルなら場所の制約もありません。このように送金の方法が多様化されたことにより、送金の手数料も安くなっています。資金移動サービスにより、いつでも、どこでも、手軽に、安く送金が可能となり利便性が大きく向上したのです。

銀行の送金サービスとはどう違うの?

利用者保護の仕組みなどに違いがあるんだ。

利用者保護の仕組みに違いがあります。銀行が破産した場合、送金途中のお金は預金保険により全額保護されることになっていますが、資金移動業者が破産した場合、利用者は、法務局に供託されている履行保証金から優先的に還付を受けるという仕組みになっています。(履行保証金や還付手続についてはQ12をご参照ください。)

また、資金移動業者には兼業が認められています。そのため情報通信業者やインターネット関連企業などさまざまな業種の企業が資金移動サービスに参入していて、各社工夫を凝らしたサービスが提供されており、利用者にとって便利で使いやすい送金方法として利用されています。

他の資金移動業者に送ることができるの? 相手の銀行口座に送ることができるの?

資金移動業者によっては、他の資金移動業者や相手の銀行口座にも送ることができるよ。利用にあたっては資金移動業者に確認しよう。

資金移動サービスの場合、銀行間同士のようなネットワークが確立されているわけではなく、資金移動業者の拠点間で資金移動が行われることが一般的です。ただし、資金移動業者のなかには他の資金移動業者と業務提携をしている業者があり、その場合、受取相手は提携業者の取扱店などでお金を受け取ることができます。提携の有無や内容などは資金移動業者のウェブサイトなどで確認しましょう。

また、資金移動業者から相手の銀行口座に振り込むこともできますが、こちらも資金移業者により取扱いが異なりますので、確認しましょう。

手数料はかかるの?

手数料はかかるよ。資金移動業者によって異なるけれど、銀行の手数料よりも安い場合が多いんだ。

資金移動サービスを利用する際も手数料がかかります。送金手数料のほかに、口座(アカウント)を開設・利用する送金なら、口座(アカウント)への入金手数料がかかる場合もあります。海外送金を利用する場合は、海外送金手数料や円を外貨へ交換する為替手数料、現地のATMでお金を引き出す際の引出手数料などがあります。(海外送金にかかる手数料についてはQ8をご参照ください。)

このようにサービスの利用に応じて手数料がかかりますが、資金移動業者の手数料は多くの場合、銀行の手数料よりも安く抑えられています。実際の利用にあたっては、銀行や資金移動業者各社のウェブサイトなどで確認しましょう。

また、資金移動業者のサービスは各社さまざまであり、手数料の名称や体系、費用も異なりますので、利用するにあたってはウェブサイトなどで確認して、比較検討しましょう。

外国へも送ることができるの? どこの国へも送ることができるの?

海外送金を取り扱う資金移動業者を利用すれば、外国へ送ることができるよ。

資金移動サービスでも、海外送金を取り扱う資金移動業者を利用すれば外国へ送金することが可能です。資金移動業者のなかには、国際ブランドのカード会社や大手の国際送金事業者と業務提携をしている業者があり、提携業者の世界中に広がる取扱店・ATMのネットワークを利用して、欧米先進国だけでなく、アジアやオセアニア、中南米やアフリカまで全世界の多くの国・地域へ送金が可能になっています。また、国際送金の大手事業者が日本で登録し、資金移動サービスを行っている例もあり、送金先は世界各国へ広がっています。

このようにグローバルに広がる資金移動サービスですが、送金が可能な国・地域や取扱拠点などは資金移動業者により異なりますので、ウェブサイトなどで確認して、自分のニーズにあった資金移動業者を利用するようにしましょう。

円で送金して外貨で受け取ることはできるの? 外貨でも送金はできるの? その場合、別途手数料はかかるの?

円で送金依頼はできるけれど、外貨での送金については資金移動業者に確認しましょう。海外送金では、外貨に交換する際の為替手数料がかかるよ。

海外送金を取り扱う資金移動業者に対しては、円で送金を依頼することができ、相手は現地通貨で受け取ることができます。このときに資金移動業者が円を現地通貨に交換しますので、その交換のため為替手数料が送金手数料のほかにかかります。

資金移動サービスのひとつの形態として、専用のプリペイド型カードにあらかじめ入金して渡航し、現地で買い物に利用したり、ATMで現地通貨を引き出したりできるサービスがあり、海外旅行や業務渡航に利用されています。この場合も利用者は円で入金依頼し、資金移動業者が外貨に交換して専用カードに入金、利用者が外貨を利用します。為替手数料が同様にかかります。

為替手数料は、資金移動業者によっては海外送金手数料に含まれる場合もあり、また、通貨の種類や送金額、資金移動業者によっても異なりますので、ウェブサイトや問い合わせ先などで確認しましょう。

利用方法や注意事項はどのようにして確認するの? 利用約款はあるの?

利用方法や注意事項は、資金移動業者のウェブサイトで確認したり、問い合わせたりしよう。利用約款も必ず確認しよう。

資金移動サービスの内容はさまざまです。店舗間送金で1回限りのものや、送金専用口座(アカウント)を開設・利用し繰り返し送金を行うもの、専用カードを利用するものなど、利用方法や注意事項はサービスごとに異なりますので、資金移動業者のウェブサイトで確認したり、問い合わせたりしましょう。

また、利用約款の確認も大切です。利用についての約束ごとをとりまとめたものを約款といい、利用方法のほかに注意事項などが記載されています。利用約款の名称は資金移動業者により異なりますが、送金する前には必ず確認しましょう。

なお、資金移動業者に送金を依頼したときは、必ず送金資金の受取証書を受け取るようにしましょう。ただしサービス内容によっては受取証書が発行されない場合もありますが、その場合には、資金移動業者から提供される情報を保存・プリントしておくようにしましょう。万一、資金移動業者が破産した場合は、還付を受けることになりますが、受取証書が利用者の権利を証明するものになりますので注意してください。(資金移動業者が破産した場合の還付手続についてはQ12をご参照ください。)

送金を依頼する際に、取引時確認は求められるの?

現金で10万円を超える場合や、繰り返し送金するため送金専用口座(アカウント)を開設する場合は、取引時確認が求められるんだ。

銀行の窓口で振込を依頼する場合、現金で10万円を超えると運転免許証などの提示を求め、氏名、住所、生年月日の確認が求められます。これは、本人特定事項の確認といい、振込に来た人が本人であることを特定できる書類で確認をしているわけです。その他に取引を行う目的や職業の確認が求められ、これを取引時確認といいます。

運転免許証などは持ち合わせていない場合もありますし、めんどうだなと思う人もいるかもしれません。でも、取引時確認は金融機関が犯罪に利用されるのを防ぐため法律によって義務づけられているものです。

資金移動サービスでも取引時確認は求められます。1回限りの取引の場合、送金額が現金で10万円を超えると送金の都度取引時確認が必要になります。
繰り返して送金するために送金専用口座(アカウント)を開設するときや、ID・パスワードをもらうときなども取引時確認が求められることになります。

提示を求められる本人確認書類としては、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、旅券(パスポート)、個人番号カードまたは身体障害者手帳(氏名、住居および生年月日の記載があるもの)などがあります。なお、法令改正により、平成28年10月1日から、顔写真のない本人確認書類(各種健康保険証や各種年金手帳など)を提示する場合には、追加で別の本人確認書類(住民票の写しなど)または現住居の記載がある公共料金の領収書(領収日付の押印または発行年月日の記載があるものでその日付が提示を受ける日前6月以内のもの)等を提示するなどの手続が必要となりました。

また、法令改正により、平成30年11月30日から、オンラインで完結する本人確認方法(eKYC)が新設され、本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法などで本人確認が可能となりました。

実際の利用に当たっては、本人確認書類や提示の方法などについて資金移動業者に確認しましょう。

トラブルになったときはどうすればいいの?

公平な第三者の仲立ちで、裁判によらずに話合いで解決を図る金融ADR制度を利用できるよ。

疑問や問題が発生したときは、まず資金移動業者の苦情・相談窓口へ問い合わせてみましょう。また、協会のお客さま相談室でも相談や苦情を受け付けています。お客さま相談室では、苦情・相談の申し出があったときは、その相談に応じ必要に応じて助言を行うとともに、資金移動業者へ苦情を取り次ぎ、解決に向け公正に対応しています。

資金移動業者との話合いで解決できない場合は、資金移動サービスでは、利用者保護の観点から、裁判によらないで資金移動サービスに関連する紛争の解決を図る金融ADR制度を利用することができるようになっています。金融ADR制度は、公平・中立な第三者に利用者と資金移動業者との仲立ちをしてもらい、話合いによって紛争の解決を図る制度です。裁判と比べると費用が安く、短い期間で解決を図ることができます。

利用者が弁護士会の仲裁センター等での紛争解決を希望される場合、金融ADRをご案内いたしますのでお申し出ください。

紛争解決申出先
●東京弁護士会  03-3581-0031 https://www.toben.or.jp/
●第一東京弁護士会  03-3595-8588 https://www.ichiben.or.jp/
●第二東京弁護士会  03-3581-2249 https://niben.jp/

資金移動業者が破産したら、送金途中のお金はどうなるの?

資金移動業者が破産した場合は、一定の期間内に申し出るとお金は戻ってくるよ。

資金決済法では、資金移動業者は、送金途中にあるお金と同額以上の金額を履行保証金として保全することが義務づけられています。履行保証金の保全は法務局に現金を供託するなどの方法により行なわれます。

万一、資金移動業者が破産した場合は、履行保証金を元に利用者にお金を戻すという仕組みになっています。利用者はこの履行保証金から優先的に配当としてお金を戻してもらえることになっていて、利用者保護が図られています。これを履行保証金の還付といいます。

利用者は、還付手続にしたがって60日以上の一定の期間内に自分から申し出る必要があります。この申出期間内に申出をしないと、還付手続を受けることができなくなってしまいますので、必ずこの期間内に申し出ましょう。

なお、履行保証金の保全方法については、金銭供託や履行保証金保全契約又は履行保証金信託契約を締結している場合には、これらの契約の相手方の氏名、商号又は名称を利用者に対して情報提供する義務があります。資金移動業者のウェブサイトなどで確認することができます。

相手がお金を受け取るにはどのような方法があるの?

資金移動業者や提携代理店、銀行の窓口・ATMでの受け取りなど、さまざまな方法があるよ。

どの資金移動業者を利用するかは、手数料や利便性などいくつかのポイントがありますが、受取相手の利便性も大きなポイントです。

資金移動サービスで送金されたお金は、資金移動業者や提携代理店、銀行の窓口・ATMで受け取ることができます。受取方法は、資金移動業者やサービスにより異なりますので確認しましょう。

個人情報はしっかり管理してもらえるの?

資金移動業者は個人情報保護法などの規定に基づいて社内体制を整備しているんだ。

資金移動業者は、個人情報保護法や個人情報保護に関するガイドライン等を遵守することが義務づけられていて、個人情報保護方針を定め、情報漏えいを防止するなどの社内体制を整備しています。個人情報保護方針については、資金移動業者のウェブサイトなどで確認することができます。

資金移動業者と代理店はどう違うの? 代理店で送金依頼しても大丈夫なの?

代理店は、資金移動業者から業務委託を受けて資金移動サービスの一部を行なっているんだ。資金移動業者が指導・管理しているよ。

資金移動サービスでは、業務の一部を外部の業者に委託することが認められています。業務委託を受けた業者・店舗を代理店といいますが、代理店を利用することにより送金や受取拠点が増え、利用者にとっても利便性が向上します。

資金移動業者は代理店に委託した業務が確実に行われているか、利用者保護や利用者情報の管理などに問題がないかなどを定期的に確認し、また、報告を受け、必要に応じて適切な措置を講じています。利用者が代理店を利用しても、資金移動業者と同様のサービスを受けることができるようになっているのです。

利用中の資金移動業者から再度、本人確認書類の提示を求められました。提示する必要はあるの?

マネー・ローンダリング(資金洗浄)及びテロ組織への資金供与を防ぐため、サービス利用開始以降も継続的に利用者の情報などに変更がないかを確認する場合があるよ。

日本および国際社会がともに取り組まなくてはならない課題としてマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策の重要性が近年ますます高まっております。

複雑化・高度化するマネー・ローンダリング及びテロ資金供与の手口に対応し、有効に防止するため、定期的に利用者情報や利用目的などの確認のため本人確認書類等の提示を求められる場合があります。また、継続的な顧客管理の実施については、金融庁から資金移動業者や金融機関に対して強く求められています。

海外へ送金をする際に、マイナンバー(個人番号)の提示を求められました。提示する必要はあるの?

海外送金の口座(アカウント)開設の申込を行う際等には、氏名、住所およびマイナンバーの確認が求められるんだ。

法令改正により平成28年1月1日以降、資金移動業者は、顧客から海外送金の口座(アカウント)の開設等の申込を受ける際、または、口座(アカウント)を経由せずにその都度現金等で海外送金等の依頼を受ける際には、利用者より氏名、住所およびマイナンバーの申告を受け、本人確認とともにマイナンバーカード等の確認書類によるマイナンバーとの照合確認が義務付けられています(関係法令:国外送金調書法、マイナンバー法)。

アカウントが乗っ取られたり、第三者に勝手にアカウントを作成され、不正にお金をつかわれたときはどうなるの?

補償を受けられる場合があるんだ。約款、ウェブサイトで確認しよう。また資金移動業者へ問いわせしよう。

誰かに勝手に使われた場合には、補償を受けることができる場合があります。補償方針についても、約款や資金移動業者のウェブサイトなどで確認できますので、確認をしておきましょう。

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