前払式支払手段発行業の概要

「対価」とは

法には、「対価」の定義はなく、その対価とは何かが明記されていませんが、一般に「対価」とは、必ずしも現金に限られず、財産的価値があるものはすべて含まれるとされています。したがって、現金に限らず、その他の有価物(小切手等やプリペイドカードなど)でも財産的価値を有するものであればこれに含まれると解されます。しかし、原則的には、金銭を想定していると考えられます。

「法」:資金決済に関する法律


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法第4条第2号における「発行の日」とは

次に掲げる日のいずれか遅い日をいうとされています(ガイドラインⅠ-1-3(1))。
イ.財産的価値が証票、電子機器その他の物に記載又は記録された日
ロ.利用者に対し証票等、番号、記号その他の符号を交付又は付与された日

発行されている前払式支払手段に有効期間6か月と明記されていれば、資金決済法の適用対象外となりますが、有効期間が切れても実質的に利用することができるものやシステム上有効期間経過後も利用できるような有効期間が形骸化しているものは、資金決済法の適用をうけることとなります。
また、次のような場合も法の適用を受けますので、注意が必要です。

  1. ① 前払式支払手段の残金を、新しく発行した更新後の前払式支払手段に引き継ぐような仕組みのもので、有効期間は当初の発行時から更新後の前払式支払手段の有効期間までの通算期間として計算され6月を超えるもの
  2. ② 前払式支払手段を受領した日から6月としている場合や発行日を確認することができないなど、発行の起算日が明記されないもの

「法」:資金決済に関する法律
ガイドライン:事務ガイドライン 第三分冊金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係


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「密接な関係者」とは

  • イ.前払式支払手段の発行者が個人である場合におけるその者の親族である関係(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族(民法第725条))
  • ロ.親子会社のように、法人が他の法人の総株主等の議決権の100分の50を超える議決権を直接又は間接に保有する関係
  • ハ.同族会社のように、個人及びその親族が法人の総株主等の議決権の100分の50を超える議決権を直接又は間接に保有する場合の当該個人と当該法人との関係
  • 二.兄弟会社のように、同一の者(個人である場合には、その親族を含みます。)によってその総株主等の議決権の100分の50を超える議決権を直接又は間接に保有される法人相互の関係
  • ホ.発行者が行う物品の給付又は役務の提供と密接不可分な物品の給付又は役務の提供を同時に又は連続して行う者がある場合における当該者と当該発行者との関係
をいいます(政令第3条)。

「政令」:資金決済に関する法律施行令


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「基準日未使用残高」とは

発行額(基準日までに発行した全ての前払式支払手段の総額(プレミアムがある場合にはそれを含む))-回収額(基準日までに使用された全ての前払式支払手段の総額(有効期限が到来したものや、払戻手続又は権利実行の手続において除斥されたものがある場合にはそれを含む額))です。


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自家型発行者の届出について

イ.「前払式支払手段の発行届出書」
自家型前払式支払手段のみを発行する者は、基準日(3月末、9月末)において未使用残高がその発行を開始してから最初に基準額(1,000万円)を超えることとなったときには、その基準日から2か月以内に、別紙様式第1号により作成した「前払式支払手段の発行届出書」に、府令第11条に規定する書類を添付して、管轄する財務(支)局長等に提出しなければなりません(法第5条、府令第9条~第11条)。

添付書類  ※官公署が証明する書類は、届出日の前3か月以内に発行されたものに限ります。
【個人である場合】
・「住民票の抄本」又はこれに代わる書面
 (旧氏及び名を氏名に併せて届出書に記載した場合において、上記書類が当該旧氏及び名を証するものでないとき
  は、当該旧氏及び名を証する書面(戸籍謄本・抄本、戸籍の記録事項証明書等、旧氏及び名が記載されているこ
  とが明らかである書面))
【法人である場合】
・「定款」若しくは「寄附行為」
・登記事項証明書(注)
・代表者又は管理人の「住民票の抄本」又はこれに代わる書面
 (旧氏及び名を氏名に併せて届出書に記載した場合において、上記書類が当該旧氏及び名を証するものでないとき
  は、当該旧氏及び名を証する書面(戸籍謄本・抄本、戸籍の記録事項証明書等、旧氏及び名が記載されているこ
  とが明らかである書面))
【代表者又は管理人が外国人である場合には、在留カードの写し、特別永住者証明書の写し又は住民票の抄本
 ※なお、日本国外に居住している場合には、居住国における住所を証明する公的証明書等】

  • ・最終の貸借対照表(関連する注記を含む) 及び損益計算書(関連する注記 を含む)又はこれらに代わる書面 ※連結決算ではなく、発行者単体のもの
  • ・会計監査人設置会社である場合にあっては、法第5条第1項の規定による届出書を提出した日を含む事業年度の前事業年度の会社法第396条第1項の規定による会計監査報告の内容を記載した書面 ※連結決算ではなく、発行者単体のもの
  • ・密接関係者がいる場合にあっては、戸籍謄本、株主名簿、有価証券報告書その他の令第3条第1項に規定する密接な関係を証する書面
  • ・その他参考となる事項を記載した書面

(注)法令に基づき登記事項証明書の添付を求めている申請等については、金融庁において、令和2年10月26日より、法務省の登記情報システムから登記事項証明書を取得することとしたため、自家型の発行届出、第三者型の登録申請、自家型・第三者型の変更届出等の際に法令で必要書類として登記事項証明書が記載されていたとしても、財務(支)局等への提出は不要となりました。なお、金融庁は、令和3年3月19日のパブリックコメントでの金融庁の考え方において、登記事項証明書が法令に基づき添付を求めるべき書類であることには変わりはないので、内閣府令で登記事項証明書の添付を求めている規定は削除せずに現行のままとする旨回答しています(3.3.19政府令パブコメNo.116)


ロ.発行保証金の供託について

3月末あるいは9月末において、発行している前払式支払手段の基準日未使用残高の2分の1以上の額に相当する額を最寄りの供託所(法務局)に供託する必要があります(法第14条)。
ただし、金融機関等との間で、発行保証金保全契約を締結しその旨を財務(支)局長等に届け出たとき、信託会社等との間で発行保証金信託契約を締結しその旨を財務(支)局長等に届け出たときは、発行保証金の供託に代えることができます(法第15・16条)。

(イ)金銭や債券による供託をした発行者は、(ハ)の別紙様式第23号「前払式支払手段の発行に関する報告書」に、供託に係る供託書正本の写しを添付して財務(支)局長等に提出しなければなりません(府令第47条)。

(ロ)発行保証金保全契約を締結した発行者は、別紙様式第13号「発行保証金保全契約届出書」に発行保証金保全契約に係る契約書の写しを添付して財務(支)局長等に提出しなければなりません(府令第30条)。

(ハ)発行保証金信託契約を締結した発行者は、別紙様式第15号「発行保証金信託契約届出書」に発行保証金信託契約に係る契約書の写しを添付して財務(支)局長等に提出しなければなりません(府令第34条)。


ハ.前払式支払手段の発行に関する報告書
上記イ.の届出書と併せて、当該基準日の翌日から2か月以内に別紙様式第23号「前払式支払手段の発行に関する報告書」に、当該報告書の写しと府令第47条に規定する書類を添付して、管轄する財務(支)局長等に提出しなければなりません(法第23条、府令第48条、第49条)。

添付書類
  • ・最終の貸借対照表(関連する注記を含む。)及び損益計算書(関連する注記を含む。) ※連結決算ではなく、発行者単体のもの
  • ・発行保証金の供託をした発行者は、供託に係る供託書正本の写し
  • ・発行保証金保全契約の届出をした発行者が発行保証金保全契約の内容の変更(当該発行保証金保全契約の一部の解除を含む。)をし、又は発行保証金保全契約を更新した場合には、その契約書又はその旨を証する書面の写し
  • ・発行保証金信託契約発行者は、信託会社等が発行する基準日における信託財産の額を証明する書面

○申請に必要な法定様式はこちら

留意事項
  • ・基準日未使用残高の額及び算出についての留意事項等が、府令第4条およびガイドラインⅠ-2に示されていますので参考にしてください。

「法」:資金決済に関する法律
「府令」:前払式支払手段に関する内閣府令
ガイドライン:事務ガイドライン 第三分冊金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係


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第三者型発行者の登録について

  • ・法第7条の登録を受けようとする者は、別紙様式第3号により作成した「登録申請書」に、当該登録申請書と法第8条第2項及び府令第16条に規定する書類を添付して、管轄する財務(支)局長等に提出しなければなりません(法第8条、府令第14条~第16条)。
  • ・なお、登録申請前に、管轄する財務(支)局との事前相談が必要になりますので、まずは、管轄の財務(支)局へご相談ください。
添付書類  ※官公署が証明する書類は、届出日の前3か月以内に発行されたものに限ります。
  • ・登録の拒否事由に該当しない旨の別紙様式第4号「誓約書」
  • ・役員の「住民票の抄本」又はこれに代わる書面
    (旧氏及び名を氏名に併せて届出書に記載した場合において、上記書類が当該旧氏及び名を証するものでないとき
     は、当該旧氏及び名を証する書面(戸籍謄本・抄本、戸籍の記録事項証明書等、旧氏及び名が記載されているこ
     とが明らかである書面))
    【役員が外国人である場合には、在留カードの写し、特別永住者証明書の写し又は住民票の抄本
     ※なお、日本国外に居住している場合には、居住国における住所を証明する公的証明書等】
  • ・役員の「身分証明書」
    ・・・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しないことの市区町村長の証明書
  • ・身分証明書について、当該役員が外国人である場合には、別紙様式第5号「誓約書」
  • ・役員の別紙様式第6号「履歴書」又は別紙様式第7号「沿革」
  • 別紙様式第8号「株主又は社員の名簿」
  • ・「定款」若しくは「寄附行為」
  • ・登記事項証明書(注)
  • ・最終の貸借対照表(関連する注記を含む) 及び損益計算書(関連する注記を含む)又はこれらに代わる書面 ※連結決算ではなく、発行者単体のもの
  • ・会計監査人設置会社である場合にあっては、登録の申請の日を含む事業年度の前事業年度の会社法第396条第1項の規定による会計監査報告の内容を記載した書面 ※連結決算ではなく、発行者単体のもの
  • ・前払式支払手段の発行の業務に関する社内規則その他これに準ずるもの
    ・・・ガイドラインにおける「第三者型発行者登録審査事務チェックリスト」に対応する社内規程やマニュアル等
  • ・前払式支払手段の発行の業務に関する組織図(内部管理に関する業務を行う組織を含む。)
  • ・第三者型発行者と加盟店との間の契約内容を証する書面
    ・・・「加盟店契約書」、「加盟店規約」等のひな型
  • ・前払式支払手段の発行の業務の一部を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る契約の契約書
    ・・・「業務委託契約書」
  • ・一般社団法人等が当該預貯金を預け入れる銀行等の商号又は名称及び所在地並びに当該預貯金口座が開設されていることを確認できる書類

(注)登記事項証明書の添付については、上記「自家型発行者の届出について」の「イ.「前払式支払手段の発行届出書」」の「(注)」をご参照ください。

○申請に必要な法定様式はこちら

留意事項
  • ・登録申請を行う場合の留意事項及び「第三者型発行者登録審査事務チェックリスト」が、ガイドラインに示されていますので、参考にしてください。
  • ・登録の拒否事由は、法第10条に示されていますのでご確認ください。

「法」:資金決済に関する法律令
「府令」:前払式支払手段に関する内閣府令令
ガイドライン:事務ガイドライン 第三分冊金融会社関係 5 前払式支払手段発行者関係

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