資金移動業の概要

資金移動業とは

銀行以外の者が為替取引を業として営むことをいいます。資金移動業を営むには、「資金決済に関する法律(以下、「法」という。)」に基づき、事前に内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。無登録で資金移動業(為替取引)を行った場合、銀行法第4条1項に違反する無免許業者として銀行法上の罰則の適用を受けることになります。
令和3年5月1日施行の改正資金決済法では、100万円相当額以下の送金のみを扱う第二種資金移動業の他、送金額の制限のない第一種資金移動業と、5万円相当額以下の送金のみを扱う第三種資金移動業が創設され、資金移動業が3つの類型に分かれることとなりました。
資金移動業には大きく分けて3つのタイプのサービスがあります。

営業店型

【手順】

  1. (1)送金人が店舗Aで送金を依頼する。
  2. (2)店舗Aが送金額、受取先等の情報を店舗Bに連絡する。
  3. (3)受取人は店舗Bでお金を受け取る。

インターネット・モバイル型

【手順】

  1. (1)送金人が資金移動業者のウェブページ上でアカウントを作る。
  2. (2)送金人は(1)で作成したアカウントに入金し、受取人のアカウントに送金指示をする。
  3. (3)受取人は指定のアカウントでお金を受け取る。

カード型

【手順】

  1. (1)海外渡航等の際、利用者が送金専用口座(アカウント)を開設しカードの発行を受け、送金専用口座に入金しカードにチャージする。
  2. (2)利用者はカードを持って渡航する。
  3. (3)利用者は現地提携先の店舗やATMで通貨を引き出す。又は提携先の加盟店で買い物に利用する。

登録要件

資金移動業者の登録を受けるには、

  1. (1)「株式会社」又は「国内に営業所を有する外国資金移動業者」であること。
  2. (2)「資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎」を有すること。
  3. (3)「資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制の整備」および「第3章 資金移動」の規定を遵守するために必要な体制の整備」が行われていること。
  4. (4)他の資金移動業者と同一又は類似の商号・名称を用いていないこと。
  5. (5)過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、資金決済法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消されたことがないこと。
  6. (6)過去5年間に、資金決済法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑又はこれに相当する外国の刑に処せられたことがないこと。
  7. (7)他に行う事業が公益に反しないこと。
  8. (8)取締役等に不適格者がいないこと。
    不適格な者とは、次のような者をいいます。
      • イ)精神の機能の障害のため資金移動業に係る職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
      • ロ)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(外国の法令上これに相当する者)
      • ハ)禁錮以上の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
      • ニ)資金決済法、銀行法等、出資法、暴力行為等処罰法(これらに相当する外国の法令)に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
      • ホ)資金移動業者が登録を取り消された場合(外国において同種の登録を取り消された場合)の取消の日前30日以内に取締役等であった者で、5年を経過していない者
      • へ)ホ)に準ずるものとして政令で定める者

等の要件を満たす必要があります(法第40条第1項)。登録申請書の提出先は、主たる営業所の所在地を管轄する財務(支)局長等です(各財務局長及び財務支局長は内閣総理大臣から金融庁長官を介し権限の委任を受けています。)。

主な規制内容

履行保証金の供託等

資金移動業者は、送金途中にあり滞留している資金の100%以上の額を履行保証金として保全しなければなりません。 「要履行保証額」は、「資金移動業の種別ごとの各営業日における未達債務の額」+「還付手続に関する費用の額」をいい、各営業日ごとに資金移動業の種別ごとの「要履行保証額」を把握しなければなりません。

利用者の保護を図るための措置

資金移動業者は利用者の保護等を図るため、次のような措置を講じる必要があります。

  1. (1)利用者が銀行等が行う為替取引と誤認することを防止する措置を講ずること。
  2. (2)為替取引に係る手数料その他の契約内容に関する情報を利用者に対し提供すること。
  3. (3)利用者資金の保全内容や、無権限取引が行われた場合の取り扱いに関する情報を利用者に対し提供すること。
  4. (4)社内規則等を定め、従業者に研修等を行うこと。   等

裁判外紛争解決制度(金融ADR制度)への対応

資金移動業は裁判外紛争解決制度(金融ADR制度=公平な第三者の仲立ちにより、裁判によらずに話合いで紛争の解決を図る制度。)の適用対象となっています。資金移動業者は法に基づいて資金移動業に関連する苦情処理措置および紛争解決措置を講じなければなりません。

認定資金決済事業者協会である一般社団法人日本資金決済業協会は、金融ADR制度へ次のとおり対応しています。

  1. (1)資金移動業関連苦情処理措置
    会員である資金移動業者は、協会が行う苦情解決により、資金移動業関連苦情の処理を図ることができます。
  2. (2)資金移動業関連紛争解決措置
    会員である資金移動業者は、協会と東京の三つの弁護士会との間で締結した資金移動業関連紛争の解決を図る旨の協定を利用することにより、資金移動業関連紛争の解決を図ることができます。なお、協会が締結している東京の三つの弁護士会との協定においては、上記の紛争解決の実効性確保の措置が規定されているとともに、申立手数料及び期日手数料の利用者側負担部分についても資金移動業者が負担することとされています。また、東京三弁護士会の金融ADRによる平均的な紛争解決期間は約90日です。

協会の活動

協会では、資金決済業(前払式支払手段発行業、資金移動業)の適切な実施を確保し、ならびにこれらの健全な発展と利用者の利益の保護を図り、その実効性を確保するために次のような業務を行っています。

・会員に関する情報の利用者への周知及び提供
・自主規制規則の策定と会員への周知
・会員の資金決済法、自主規制規則等の遵守状況の調査および指導
・資金決済業に関する広報、普及・啓発
・資金決済業に関する調査研究
・消費者からの苦情処理・相談紛争への対応

協会では資金決済法や同法に基づく登録等について解説した冊子「資金移動業のしおり」を販売しています。

協会の発行資料とご請求/書籍の販売

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